教団・教派組織の次世代育成をどう考えるか


教会における次世代育成は、教会レベルでの取り組みのみならず、教団・教派レベルでの取り組み、あるいは地域の数教会の合同による取り組みが、また種々の宣教団との連携による取り組みが必要とされます。それは、二重・三重に輪をかけて、取り組んでいくべき事柄です。

今回は、教団・教派レベルでの取り組みについて考えているところを述べておきましょう。この点について、教団・教派における児童向けのキャンプ、そしてユースキャンプを経て献身者を獲得し、さらに神学校へとつなげ教育訓練を施し、教会に送り返すという次世代育成の循環に成功しているとされる団体の報告もあります。では、同じような手法を各教団・教派が取り入れていく場合、そのサイクルを造り軌道に乗せていくために、どのくらいのタイムスパン、あるいはスケジューリングやプロセス、活動が必要なのか、また各教団の諸事情、たとえば教団・教派の政治形態のあり方がそうした改革や発展性に障壁として作用する課題も取り組みの中で生じている状況もありますので、それぞれの政治・運営形態の特色に合わせ、どのような変革計画が可能なのか、実行可能性のある実践例が検討される必要があるでしょう。

ところで、次世代の育成と言った場合、教団・教派の理事会の観点からは、また違う問題が提起されます。「次世代リーダー」という言葉の意味は多義的で、教団・教派の理事会からすれば、それは、「将来、事業や組織を牽引できる人材」と言えます。いわゆる教団・教派の成長・発展を担う存在で、「次世代リーダー」を確保できるかどうかは、教団・教派の盛衰を左右するものです。果たして各教団・教派は、こうした「次世代のリーダー」を十分に確保できているのか、そこから問われなければならないのかもしれませんが、当然予測されることは、各教団・教派の特徴によって次世代リーダーの内容も性質も変わってくる、ということです。

たとば、グローバル展開度、つまり宣教の海外展開をどれだけ行っているかという観点からしても、教団・教派の実情には差があります。そして、おそらくグローバル展開度が高ければ高いほど、次世代リーダーの確保は難しい課題になっているはずなのです。また既に世代循環が一代目から四代目、五代目まで進んでいる団体と、まだ二代目に入ったばかりという若い教団・教派でも、課題や取り組みの差があることでしょう。団体歴の長さは、特に次世代育成の目的、位置づけに違いをもたらすはずです。というのも、次世代育成については、少なくとも「職能部門トップ」、「教派・団体事業実務家」、「教団・教派経営者」と三つの目標が考えられ、グローバル展開度が大きく、団体歴の長い教団・教派ほど、「教派・団体経営者」の役割を担う者の育成が課題となると考えられます。そしてその逆ほど「職能部門トップ」の役割を担う者の育成が課題になることでしょう。

そこで、多くの教団・教派は、次世代を育成するために人材を「選抜」して取り組んでいるはずです。問題は、その選抜の主体者はどこなのか、各現場の部門、人事部門、代表、自薦とあるものの、選抜基準や、選別すべき人材像も不明確なままに行っている可能性がある、ということです。また、教育内容にしても、「霊的なリーダーシップ」、「教団・教派、経営管理知識」、「教団・教派の事業戦略の策定・提言」、「教団・教派の組織課題の解決」「教団・教派、各個教会レベルの職能の開発」と種々あるものの、きちんとプログラム化されているのか、否かが問題です。さらに教育方法について、集合研修なのか、留学研修なのか、予算はどれほどなのか、今後の調査で、日本のキリスト教界の取り組みの現状を明らかにしていきたく思いますが、一番重要なのは、教育に対する教団・教派の現リーダーの意識です。グローバル展開度が高く歴史の長い団体ほど、次世代リーダーの育成は一朝一夕にはいかず、1~2年の短期間のOff-JTでは効果をあげることはできません。複数年の期間をかけて、複数階層にわたる、段階的に腰を据えた取り組みが必要であり、そうしたことへのリーダーの強い問題意識と中長期的視点に基づいたバックアップがどれほどあるのかが問題なのです。こうした部分の教団・教派における整備の遅れが結果として、身近で生活を共にする二世、三世牧師が、その長期に自然なOn-JTによって、教団・教派の複雑高度なリーダーシップを担わされるシステムが定着化し、将来的に組織のイノベーションを起こしにくくしていくことも考えられるでしょう。「何のために」「どのようなリーダーを」「いつまで」「どの程度」育成する必要があるのかを明確にした、教団・教派レベルでの次世代育成の研究が整理される必要があります。