日本バプテスト教会連合東京地区牧師会発題(地方伝道を考える)


以下は、2018年5月14日、日本バプテスト教会連合東京地区連合で福井が発題したものである。

「地方伝道に、連合は何を考え、どのように関わるか」

1.地方で何が起こっているのか

 

1)教職の不足:最近の新卒の牧師は、地方に行きたがらない、都市に残りたがる、結果、後継者問題が起こっている。そして無牧教会の増加、教会閉鎖の危機がある。

2)信徒の減少:

(1)これまでは、若者の都市流出に注目されていた。地方の教会は、送り出すのみ、クリスチャン家族が引っ越ししてくることはない。

(2)今新たに起こっている問題は、「呼び寄せ移住」、老人が都市の子どもに呼び寄せられて、教会から老人までいなくなってきている。

(3)新来会者が1年に1人あればよい。葬儀を挙げるたびに信徒が減っていく。後数名信徒の葬儀をしたら教会を閉鎖するという教会もある。

こうして、ミニストリーのみならず、経済的に、人数的に立ち行かなくなってきている現実がある。

3)地域共同体の衰退:消滅可能性都市、つまり人口の減少率が5割を超える自治体、より衰退の恐れの多い自治体が近年明らかにされた。連合に関係のある都市は、以下の通り(数字は、減少率)

三重県熊野市68.9、新宮市61.5、那智勝浦61.1、美浜町58.6、印南町57.2、橋本市53.5、田辺市53.4、三郷市54.9、飯能市52.3、意外なのは、埼玉の三郷市と飯能市、連合はこれらの教会について予測される問題を検討し、対応を迫られている。

4) 土着の宗教との闘い(異教的共同体との取り組み)

古代からの民間信仰が、個人の精神性、家族関係、共同体生活と分かちがたく結びついている。ある地方の伝統的なお祭りは、明らかに原始的異教的なお祭りと見えるが、それが、共同体のみならず、家族、ことに老人を大切にするための文化として深く根付いて、世代伝達されている。つまりキリスト教がそうした精神性に入り込む隙がない。外部から来た牧師が土地の人として認められるのに何十年、何世代もかかるが、認められても、別枠であったりする。

 

2.どのように対応するか

 

1)衰退教会への個別的な取り組み

五つのレベルで個別に関わっていく。①モラルサポート(祈りと交わり)、②協力牧会(教会役員の自主性を尊重する)、③兼牧(指導牧師が主導する)、④合併、⑤閉鎖

連合のU教会の場合は、当初④合併レベルで考えられていたが、実際に関わってみたところ、役員は、信仰的に落胆しているだけで、指針を示すことによって再建が可能と判断されて、2年で会堂建築を達成し、新牧師を迎え、再建された。

2)地方における宣教協力の推進(教派を超えた共同牧会、一教会一牧師の見直し)

T県の地方教会の例、I教団の教会が閉鎖され、その時に残された信徒は、K教団の教会に吸収されることになった。合意通り。しかし、K教団の教会も無牧状態で、親教会から月一度の礼拝奉仕へ牧師が出かけている状態であった。そこで、その教会について、三つの神学的背景の異なる教団(F教派、N教派など)の牧師がチームを組んで毎月牧師を送り、継続運営する形を組んでいる。それが可能になったのは、その地域の関わっている牧師が、皆同じ神学校を出ていて、教団教派こそ違ってはいても顔見知りであったことによる。

3)信徒伝道者の育成(教える力のある者を指導)

N県のある教団の教会は、牧師の指導の下で、説教・牧会までする信徒伝道者(聖餐はできない)を養成し、その役員に働きを委任する形で対応している。

4)自給・自活伝道の積極評価(ブラックへの配慮)

牧師が職業に従事しながら伝道することを積極的に認めていく。ただこの対応については、実際には地方では、牧師がつける仕事自体がない、という問題もあって、テントメーキングが成り立たないこともある。またそうした教会は、団体からも忘れられて、牧師が孤軍奮闘で、何から何まで自腹を切って、いわゆるブラック企業化状態から抜け出せないで牧師、牧師婦人が潰れていく状況もあったりする。そういうことへの配慮が必要。

5) 都市教会と地方教会の協力関係の推進(分かち合い)

都市と地方の格差を是正するのではなく、その現実を認めていく、そして自給できると考えない。つまり

①都市部教会からの経済支援、あるいは国内宣教師派遣的発想で、地方教会を維持する

②ふるさと納税的経済支援を考える

ある教会派経済力がどんど落ちていく。結果、会堂の立て直しが明らかに必要であってもそれができず、あばら家のような古い会堂のまま。結果、周りは家が新築されていく中、教会が取り残されて行き、人々が、行きたいとは思えない、物理的に難しい状況を抱えていることがあったりする。そういう問題解決はもはやその教会の自助努力では不可能。

6)伝道に対する物の見方を変えていく(看取り)

同じように都市と地方の格差を是正するのではなく、その現実を認めていくのであるが、消滅可能性都市にあって、縮小傾向にある教会は、役目を終えたと見ていくことも必要であったりする。

①高齢者だけになってしまった教会に、宣教をさらに頑張れ、というのではなく、これまで十分働いた、本当にご苦労様でした、と後は教会の看取りの時期にあると考えていく

②健全な神の国マインドを共有していく。教会形成は、人数が少ない、多いという問題ではない。小さければ小さいなりに、大きければ大きいなりに、霊的にキリストの命に生きていることを大事にしていくという健全な神の国マインドを皆で確認しあい支え合う。

7)より大局的な構想(宣教団体と教会)を検討していく

ラジオ放送を行う宣教団体など、全国ネットの超教派機関とタイアップして、教育的、牧会的フォロアップを、電波を活用して行う。しかし宣教中心に働いてきた宣教団体が教育を同時に進めるというのは、理念変更を迫られて、直ぐに動くわけにはいかない、ということもある。しかし、地方にまでネットワークのある宣教団体の協力があれば、教会の孤軍奮闘を軽減することが可能となる。

8)さらなる調査による検討(JEA実態調査5年計画)

実際、どのくらいの教会が立ち行かない状況にあるのか、困難だと言われているが、感覚的に言われているだけで、実態が明確になっていないことがある。JEA宣教委員会宣教研究部門の取り組みとして、こうした実態を明らかにしていく必要がある。

①地方教会で成功している事例もある(二世代による教会形成が多い)

②消滅可能性都市にある教会への対策を大所高所から考える。

③JEA宣教研究部門による提言をまとめている。たとえばRJCPNに協働した総合施策の可能性もあるのではないか、など様々な可能性を検討中である。

3.連合の課題

 

1)配慮ある各個教会主義

連合は、何かあると各個教会主義と言って、自助努力が求められる。しかし、各個教会主義を言い訳にしない。配慮は必要。宣教協力をうたう連合体である以上、配慮(合理的配慮)ある各個教会主義であることを目指していく必要がある。

2)宣教協力の流れの中で出来ることを考える

連合は、開拓教会や開拓自立後なかなか経済的にも伝道的にも立ち行かない教会に対して、人材派遣協力も財政援助協力も出来ないが、教育によって教会が強くされることに協力はしましょう、ということで、河野塾、中西塾が立ち上がり、パスターズスクールがそれを継承した。職能研修の提供により教会を活性化させていくという流れで、やはり、本当によい教育プログラムを提供していくことが出来ればと思う。

3)地方の現状が吸い上げられる仕組み

最近の連合は、理事会に物事の決定が委ねられることが多い。しかしその理事会は、東京地区の理事で占められ、地方の教会の声が直接に反映されることがない。理事が強力なリーダーシップで連合を引っ張っていくために、実務能力や牧会教会の規模によって選ばれるという考え方がありはしないか。むしろ、関東、関西、東海、中紀・紀南、それぞれの地方から代表が出されて、それぞれの課題が率直に出されて話し合いがなされ、実際の歩調のレベルで宣教協力を進めていけるのが正しいあり方ではないか。そういう仕組みが動くように、連合のあり方を変えていく必要があるのではないか。

4)成熟した宣教推進型の協力

連合は教団組織ではなく、あくまでも宣教協力団体であるが、配慮ある宣教的協力関係のある団体に成長していくことが求められている。